#7「自分のバリューが活かせる仕事に、いつでも戻ることが出来る。それがフリーランスのメリット」- 清水風音さんインタビュー

清水さんはエンジニアとして10年間のキャリアを積む中で、自分のバリューを最も生かせる開発フェーズやスキルを認識し、独立。法人設立し独自のプロダクト開発をしながら、受託案件でも積極的に“チャレンジ”を重ねておられます。フリーランストーク登壇に際して清水さんへ、これまでのキャリアの変遷や今後の展望まで、詳しくお話を伺いました。

自分のバリューを認識し、最も生かせる場に入っていく

 
── これまでのキャリアや、現在の仕事について教えてください。
 
清水:10年間、正社員でエンジニアとして働き、2015年に独立しました。エンジニアを始めたのは、ただプログラミングするだけではなくて、プロダクトやサービスを作り上げていきたいという気持ちがあったからです。お客さんとお話しさせていただいて、「こういうものを作って欲しい」という思いを実現する。これが性に合っているな、と思っています。
 
会社員時代には、上流工程から実際に作るところまで全体をやらせて頂きました。転職する中では、開発では無く、企画系部署でベンダーさんへ発注する立場になったこともあります。ただその時の経験というのが、自分にとってはとても味気ないモノに思えたんです。プロダクトって、それが出来上がる瞬間よりも、出来上がっていく過程が面白い。開発するプロセスの中で試行錯誤を味わうことに面白みを感じていたことに気づいて、エンジニアに戻ることにしました。
 
── 何故、エンジニアとして転職するのではなく、フリーランスになることを選んだのでしょうか。
 
清水:僕が最もバリューを発揮出来るところは、プロダクトをつくっていく場面だなと思っています。でも、一つの会社や場所にいると、プロダクトをつくるというフェーズばかりではありませんし、転職したとしてもそのような部署に配属されないということも、当然、ありますよね。であれば、自分のバリューを生かそうと考えると、フリーランスとして今まさにその能力が求められる案件に入っていって支援する、というのが一番いいのではないか、と思ったんです。
 
技術的な興味分野は広くて、iOSとAndroidのアプリ開発をやっていた時期もありますし、バックエンド開発をしていた時期もあります。お客様が実際に使ってくれて喜んでくれる顔が見える、そういうところが最近は特に楽しいと感じているので、今は得意なバックエンドを活かしつつ、フロントエンドのお仕事もさせていただいています。
 

やりたいこと、実現したいことをイメージし、合致する案件や環境を得ていく

 
── 独立して最初の仕事は、どのように獲得したのでしょうか。
 
清水:転職しようか独立しようかと考えていた時に、たまたまひとつ、案件のお声掛けを知人経由で頂いたんです。これからグロースしたいというフェーズのプロダクト開発に、しっかり関わっていけるということでした。こういう案件に関わっていきたいとイメージしていたそのものだったので、フリーランスとしてチャレンジしてみようと思いました。
 
── 清水さんは独立してすぐ、法人を設立されています。個人事業主ではなく法人設立を選んだ理由を教えてください。
 
清水:自分の場合は独立にあたって個人として仕事をしていきたいというより、プロダクトをつくりたい、サービスをつくりたい、ということが大きな柱としてありました。それに合わせた体制を作りたいと考えると、やはり法人でやるのが適切という判断でした。法人であれば人を増やして組織にするということもスムーズに出来ますし、まして資金調達ともなれば、個人ではなかなか難しいと思います。
 
これまでに ITnews というエンジニア向けメディアをつくったり、独自ドメイン化無料のブログサービスを運営していました。今はドラッグ&ドロップでWordPressをAPI化するヘッドレスCMS Collections を作っています。興味がある方には、是非見てみて頂きたいと思います。
 
── 独立、起業の際に、目標にした人物や参考にしたものはありますか。
 
清水:自分の父親はずっと学習塾を経営していまして、本当に全て1人でやってきています。これもある意味で、フリーランスのようなものですよね。自分も小さい頃はその塾に通って勉強していて、ずっと父親の働き方を見てきました。そういう環境だったので、起業することや一人で仕事をしていくことに抵抗感があまりなかった、というのはあると思います。僕の中ではサラリーマンよりもフリーランスの方が身近な働き方だったのかな、とやってみてから気づいたところはありました。
 

「フリーランスエンジニア」としてのキャリアを、“戻れる場所”に

 
── フリーランスになって苦労したことはありますか。
 
清水:本当に有難いことに、仕事が途切れたことはありませんし、数年単位でご契約いただいた企業様がほとんどで、恵まれてきた方だと思います。
 
ただ勿論、正社員からフリーランスになるという、その瞬間はやはり緊張しました。新卒で入った会社にもフリーランスエンジニアの方がメンバーに何人もいましたので、フリーランスそのものが珍しい存在というワケでは無かったんですが、フリーランスの良いところ悪いところ、それぞれあるという話も聞いていましたので。ただ、一度踏み出してしまえば考えすぎていたなと思うことも多いですね。ですから自分は、フリーランスになるデメリット、というのはほとんど感じたことがありません。
 
僕は正社員からフリーランスになり、起業もしました。資金調達して自社プロダクトをつくっている期間は、フリーランスの仕事はお休みしますが、資金調達がうまくいかなかった時、資金を外部で稼ぐ必要も出てきます。そんな時も、“フリーランスとしてのキャリア”を築いておいたことで、仕事を探し始めた3日後には案件が決まり、翌月から稼働に入らせていただくことが出来ました。
 
正社員だと仕事を変わるということのハードルが凄く高いので、リードタイムも長くなりますから、全く関係ないアルバイトをしたりということにもなりかねません。また、希望する組織に入ったからといって、希望するような内容の案件に関われるとは限りませんよね。これはある意味でリスクであると思います。その点、ある程度のキャリアがあるフリーランスであれば、自分のバリューが活かせる場所、仕事に、いつでも戻ることが出来る。それは本当に強みで、フリーランスになる最大のメリットだと思います。
 

次に繋がるチャレンジのために、最初の一歩を踏み出して欲しい

 
── 最後に、フリーランスになることに興味があるイベント参加者に向けて、メッセージをお願いできますか。
 
清水:エンジニアの仕事って、今後どうなるかわからないと、本当に思っています。これは、フリーランスだろうと正社員だろうとどうなるか分からないというのは、変わりません。ChatGPTやCopilotが今、無くてはならない存在になってきていて、一緒に働いているエンジニアは全員使っています。そんな中で、次のチャレンジをしていかなければならない。
 
チャレンジにはリスクがつきものです。「今後はエンジニアがダメそうだから、他の仕事をしてみよう」というチャレンジをしても、ダメな時もあると思います。そんな時「フリーランスのエンジニア」という、いつでも戻って仕事をすることが出来る環境を作っておくこと。それこそが、フリーランスをやることの最大のメリットなのではないかと思っています。リスクを適切に管理するというのは、キャリアを構築していく上でとても重要なことだと思っています。
 
技術者の人は、自分のキャリアや技術力について謙遜するあまり、自分の行動を抑制してしまうところがあるように思うんですが、行動するというのはやっぱり、圧倒的に強いコトなんですよね。もし今フリーランスに興味があったら、「まだまだ自分は」と思わずに是非一歩を踏み出して欲しい。そうすれば、きっと今までとは違う景色が見えると思います。「やらずに後悔するより、やって後悔する」そういう気持ちで、是非、踏み出して欲しいと思います。
 
── ありがとうございました。フリーランストークイベント当日は、参加者の皆さまからの質問にお答えする時間も設けておりますので、清水さんのさらなる貴重なお話を伺うことを楽しみにしています。
 
 
フリーランストークはこの記事でインタビューに答えてくださった清水さんに、よりリアルなお話しをしていただき、またQ&Aを設けることで、参加される皆さまのキャリアに少しでも役立つように設計されたオンラインイベントです。ぜひご参加ください。
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