#4 「仕事に自分の人生を合わせるのではなく、自分の人生に仕事を合わせる」 - 天野真也さんインタビュー
IT業界のフリーランスの方や、フリーランスに興味のある方に役立つ情報を共有するためのイベント「フリーランストーク」のインタビュー記事です。提供するプロパゲートはフリーランスの方にクラスメソッドや事業会社の案件を紹介するマッチングサービスです。
IT業界では今、独立を検討されている方や、実際にフリーランスとして活動される方々が増えてきています。そんな皆さんにフリーランスとして役立つ情報を共有するイベントが「フリーランストーク」です。次回、2023年10月25日開催回に登壇していただくのは、インフラエンジニアやIT分野のオンライン講師として活躍している天野真也さんです。
天野さんが学校を出たのは「就職氷河期」と呼ばれる就職難の時代。Windows搭載PCが発売されITブームが起こる中、エンジニアの仕事に興味を持つようになりました。約20年間ヘルプデスクやインフラ構築の業務に従事。現在はフリーランスとしてエンジニアや講師をしながら多拠点生活を送り、自由なライフスタイルを実現しています。「フリーランストーク」登壇に際して天野さんへ、これまでのキャリアの変遷や今後の展望まで、詳しくお話を伺いました。
エンジニアとして約20年の会社員生活の後にフリーランスへ
──これまでのキャリアや、現在の仕事について教えてください。
天野:私は大学の後すぐには就職せず、フリーターのような生活を送っていました。ちょうどその頃、Windows搭載のPCが発売されて、大きなブームが起こったんです。趣味でPCを買って触っていた程度だったのですが、だんだんPCに関わる仕事をしたいと考えるようになりました。
仕事を探す中で、ある会社にアルバイトとして雇ってもらえることになりましたが、その会社はエンジニア経験が無い私に「サーバー構築できるようになって」と無茶振りをしつつも未経験の自分を手厚くサポートしてくれる会社でした。そんな中、独学で勉強してなんとかサーバー構築できるようになりました。その後、規模の大きな会社に何度か転職を繰り返しながら、エンジニアとしてインフラ構築やサポートデスクの業務に約20年携わってきました。
フリーランスになったのは約3年前です。会社員として長く働いてきたのですが、「私はこのまま会社員のままでいいのだろうか」と漠然とした違和感を抱えていました。そこで、40歳を過ぎた頃に会社員を辞めて、今はIT分野のエンジニアや講師として、フリーランスで生計を立てています。
──会社を辞める時、次の仕事は決まっていたのでしょうか。
天野:いえ、次の仕事は決まっていない状態で、会社に辞めると伝えました。しばらく仕事をせずに、今後のキャリアについて考える期間を作りたいと思ったんです。実際に会社を辞めてから1ヶ月程は、仕事をしないで北欧で過ごしていました。「次は会社員にならない」ということは決めていたのですが、ではどんな働き方をしようか……と考えて過ごしていた時に、印象的な出来事がありました。
ドイツで高速鉄道に乗っていると、近くで欧米人のおじいさんとアジア人の若者が英語で話をしていました。どうも2人ともIT関連の仕事をしているようで、内容に興味が出たので聞いていたんです。若者がおじいさんに「どんな会社で働いているんですか?」と聞くと、おじいさんは「私はフリーランスとして働いている」と答えていました。それを聞いて、歳を取っても自由に働ける、フリーランスという働き方に関心を持ったんです。その後、フリーランスの知人に詳しく話を聞かせてもらったりして、フリーランスとして独立することに決めました。
稼働時間やクライアントの社風から考える、自分に合った案件の選び方
──今はどのような業務に関わっていますか。
天野:インフラエンジニアとオンライン講師を組み合わせて、働いています。独立した当初は私自身の適性が分からなかったので、エンジニア業務以外にも幅広く案件を請け負っていました。Webライターとして記事を書いたこともありましたし、面白いものでは機械学習の教師データの作成などもありました。いろいろな案件を引き受けるうちに、自分に合った業務が整理できてきて、今はインフラエンジニアとオンライン講師の仕事をメインに行っています。
私は、単発の案件をその都度探すのを負担に感じるタイプなので、数ヶ月の単位で継続的に働けるインフラ運用の業務は向いていると感じています。現在業務委託で4つの案件を並行して請け負っています。1つが平日フルタイムの案件で、残り3つは納期を守れば時間の融通がきく案件です。なので、平日の昼間はフルタイムの案件を行いつつ、平日の夜や土日に残りの案件やオンライン講師の仕事をしています。
──案件を選ぶ上で重要視しているのは、どんな点でしょうか。
天野:独立したての頃は、受注金額を重視して案件を選んでいました。それに比べて今は、自分がどんな経験を得られるか、仕事を通じてどんな能力を発揮できるか、自分がしたい生活と合っているか、等を重視するようになってきています。
会社員を辞めた時「仕事に自分の人生を合わせるのではなく、自分の人生に仕事を合わせる」ことを一つの目標にしました。最近はリモートワークやフレックス勤務が増えてきましたが、平日フルタイムを拘束されるというのは、やはり自分の人生を仕事に合わせているように感じています。今後は週3日等、稼働時間が少なくなる方向に調整していきたいと考えています。
現在、お受けしている平日フルタイムのお仕事は、クライアントさんのグループ会社に過去お世話になった経験があり、社風が私に合っていると分かっているからです。私は静かな環境で集中して作業を進めたいタイプで、メンバー間で頻繁に議論しながら案件を進めるような環境だとストレスが多くなってしまいます。
「このクライアントさんであれば、働く上でストレスが少なく、他の案件と並行しても請け負うことができる」と判断してお受けしました。そういった、クライアントの社風や文化なども、案件を選ぶ上では重要だと考えています。
──案件探しはどのように行っていますか。プロパゲートにエンジニア登録していただいたきっかけも教えてください。
天野:独立した当初は、多くの登録者がいるクラウドソーシングのサービスを使って仕事を受注していました。しかし、クラウドソーシングで募集される仕事はどうしても単発で終わる案件が多くなります。そこで、エージェントを利用するようになりました。今はエージェントで業務委託の案件を探して、応募するようにしています。エージェントによって案件のタイミングや得意不得意に偏りがあるので、複数のエージェントに登録して案件を探すようにしています。
プロパゲートに登録したきっかけは、クラスメソッドのグループ会社が運営するエージェントサービスがあるとイベントか何かで知ったのがきっかけです。以前からクラスメソッドには興味があって、イベントに参加したり社長のツイッター(X)をフォローしたりしていました。イベントの参加などを通じて、会社の雰囲気も知っていたので、私にあった案件が見つかるのではないかと思い、登録しました。
フリーランスで成功するには“自分の仕事スタイルの開拓”が重要
──天野さんは色々な地域にいらっしょるようですが、一体どのような生活スタイルなのでしょうか。
天野:日本全国に点在する住まいを利用できるサブスクリプションサービスを利用して、定期的に拠点を移動する多拠点生活をしています。今は北海道で過ごしていて、知床や小樽など様々な場所に移動しながら、約2ヶ月滞在する予定です。
独立した当初は、九州の実家を拠点にして生活をして、東京と九州の二拠点生活を考えていました。ところがコロナ禍となり東京に行くのを避けるようになったので、九州を拠点にすることになりました。最終的には九州ともう一箇所の二拠点生活に落ち着きたいと思っているので、全国を移動しながら拠点探しをしています。
──最後に、フリーランスになることに興味があるイベント参加者に向けて、メッセージをお願いできますか。
天野:他人の正解が自分の正解とは限らない、ということを伝えたいです。他人の成功例は“参考”にはなりますが、そのまま使えるものではありません。2~3年かかるかもしれませんが、自分の仕事や営業のスタイルを開拓する気持ちを持って欲しいと思います。私も最初のうちは苦しかったですが、今は会社員時代と同水準の収入となり、生活の自由度は増しました。
先程、住まいのサブスクを利用している話をしましたが、多拠点生活をしている利用者にはフリーランスの人が多いんです。宿を貸している方に泊まりに来る方々のことを聞いたところ、「人の生き方がどんどん多様になってきている」と言っていました。人生には色んな選択肢があります。皆さんも選択肢を自分で狭めずに、自分に最適な人生を選び取って欲しいと思います。
── ありがとうございました。「フリーランストーク」イベント当日は、参加者の皆様からの質疑応答の時間を予定していますので、新たなお話が伺えることを楽しみにしています。
「フリーランストーク」はこの記事でインタビューに答えてくださった天野さんに、ご自身のキャリアについてご登壇頂き、Q&Aを設けることで、参加の皆さまのキャリアに少しでも役立つように設計されたリモートイベントです。ぜひご参加ください。
プロパゲートは、エンジニアの皆様へ事業会社やクラスメソッドの案件をご紹介する、マッチングサービスです。
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