経験学習を手軽にはじめられる ロールプレイトレーニング入門

ども、事業開発のtakiponeです。クラウドやシステム開発の現場で、以下のような悩みはありませんか?
  • クラウドなど特定の技術に詳しいメンバーに業務負荷が集中する
  • 構築などタスク単位で任せられるエンジニアが育っていない
  • ITやクラウド技術に明るくない事業部との要件詰めに過大なコストがかかる
IT技術のスキルアップにはエンジニア組織・個人ともに熱心に取り組んでいる一方で、仕事の段取りや頼み方はOJTなど業務を通した”ぶっつけ本番で失敗しながらの習得”に頼っていませんか。OJTに加えてロールプレイを組み合わせることで、業務や関連するソフトスキルの伝達を明日からはじめることができます。本ブログ記事はロールプレイトレーニングを始めるガイドとして、ロールプレイを設計するための3つのステップを例を交えて紹介します。

3つの設計ステップ

ロールプレイは業務を手軽に疑似体験できる優れた手法です。一方で架空の設定に取り組むためには、適切な課題と取り組む必然性を持たせるためのシナリオ、取り組むためのサポート体制が必要です。3つの設計ステップを通して、それらを作り込んでいきます。

1. ロールプレイ設計

受講生にどのような役割を与え、どのような相手役とコミュニケーションを取るのかを設計します。パターンとしては、受講生1名に相手役1名のマンツーマンのほか、受講生N名でのグループワークなどが考えられます。私は、シンプルな1対1のロールプレイにするのがおすすめです。理由を説明します。
グループワークでは特定の受講生にワークが偏ること、ロールプレイを自分ごととして捉えることの難易度があがることから推奨しません。相手役を複数にして現実に近いステークホルダーとの関係を再現する選択肢もありますが、ロールプレイの構成が複雑だと受講生がそれを理解して課題に取り組むまでのコストがかかってしまうのでこれも推奨しません。
業務の相手役として、例えば以下のロールプレイ例があります。
受講生相手役
受付担当者顧客
アプリ開発者リーダーエンジニア
ロールプレイに取り組むミーティング以外の成果物やドキュメント作成作業の時間は、受講生同士やメンターを付けて相談しながら取り組むのがおすすめです。課題の理解度向上や、ふりかえりの下地となる情報が蓄積できます。ロールプレイの時間とは別に、トレーニング期間中に定期的に勉強会やもくもく会の時間を設けると良いでしょう。
↓ポイントいくつか
  • 任せようとしている役割のロールプレイはもちろん、業務で相対する相手側の役割をロールプレイとして設計し、両方の役割のロールプレイをセットするのがオススメです。
  • ロールプレイのあとに受講生とメンターでロールプレイのふりかえりの時間を取りましょう。ロールプレイは業務をうまく進めることはもとより、体験をすることが目的になります。うまくできたことだけではなく、正しく対応できなかったことやスムーズに進められなかったところを客観視、受講生とメンターがきちんと認識を合わせることでロールプレイの学習効果を最大にできるでしょう。

2. 目標設計

ロールプレイを通してどんな経験、スキルを身につけて欲しいのかを目標として設定します。
例:
↓ポイントいくつか
  • 体験を重視すること。「首尾良くうまくやる」ではなく、「思いついたことをきちんと行動に盛り込む、試す」ことを評価するのが良いでしょう
  • ロールプレイは受講生の事前のスキルレベルによって扱う事柄に差異が出やすいです。目標は全員必達とするのではなく、必須目標とストレッチ目標というように段階を分けて定義すると無理のない運用ができるでしょう。

3. 課題設計

没入感のあるシナリオを課題として設定しましょう。受講生にとってはロールプレイ自体が普段の業務とは異なるイメージしずらいものですので、込み入ったシナリオは避け、シンプルで取り組む動機がわかりやすい、共感を得られるシナリオが良いでしょう。課題に組み込む技術要素も難易度の高いものや最新のものというよりは、汎用で難易度の低い、業務としてよくある最小公倍な技術要素が良いでしょう。
トレーニングの建て付けとしては、オンラインコンテンツや座学との組み合わせがオススメです。オンラインコンテンツや座学で学習した内容をロールプレイで試しフィードバックを受けることで知識の定着や自分ごと化が進められます。経験学習のエッセンスに近いかもしれません。
ロールプレイの進行から成果物の作成まで、受講生は課題に対するタスクがたくさんあるので、タスクリストを活用してタスクの抜け漏れを防ぎつつメンターへの進捗報告として進めるとよいでしょう。
タスクリストの例:

ワークショップで試す

明日からロールプレイを試すべく、30分から数時間でできるような小規模な課題を作って数人でワークショップしましょう!ロールプレイ自体がどういう雰囲気で進むのか、スムーズに設計するために何が必要なのかがわかります。
日頃から立場の違う相手とコミュニケーションを取る職種を除き、ほとんどの方はロールプレイの議事進行を主体的に進めるのはかなり難しいと感じるでしょう。アジェンダで話すべきことを整理するなど、まずはロールプレイを走りきれるようメンターが支援するべき項目が洗い出せるはずです。

まとめ

ロールプレイトレーニングの設計を3つのステップ、ロールプレイ設計、目標設計、課題設計について解説しました。皆さんの職場のITエンジニア育成にロールプレイを取り入れて、役立てていただければ嬉しいです。
プロパゲートではロールプレイを主体とする体験型トレーニングプログラムDevelopersIO BASECAMP for Bizをサービスとして提供していますので、お気軽にお問い合わせください。